
中医臨床 通巻142号(Vol.36 No.3)
商品コードc142
特集/病機弁証――病機を重視した新しい弁証の試み
2015年 9月20日発行
2015年 9月20日発行
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【特集】病機弁証―病機を重視した新しい弁証の試み
弁証論治において病機の把握はきわめて重要な要素である。近年,中医学の教材では各疾患をいくつかの弁証タイプに分類して記載しているが(分証分型),ともすれば弁証論治が患者をいずれかのタイプにあてはめる作業になりがちである。こうしたパターン化・硬直化した弁証に対して,近年,警鐘を鳴らす動きがでてきた。南京中医薬大学・周仲瑛教授が提唱する病機を核心とした「病機弁証」である。 「弁証のカギが病機を把握することにある」という観点自体は特に新しいものではない。最近になって,周教授が改めて病機を強調したのは,「近年の大学教育では,学生の中医臨床技能の低下,弁証論治の思考能力の弱体化,機械化・硬直化した弁証分型の援用が指摘されており,複雑で変化の多い臨床の実際に適応することが難しく,予期した治療効果を得られなくなっている」ことが背景にあるという。そして,学生らが固定化した弁証分型の殻を打ち破って,実際の臨床において動態的に対応できる能力を養うために提唱されたのが病機弁証なのである。
本特集では,まず病機弁証を提唱した周仲瑛教授と,その弟子である周学平教授を南京に訪ねて行ったインタビュー記事を掲載した。病機弁証を提唱した背景や意義,具体的な方法,今後の展望などについて話をうかがった。その他に,周仲瑛教授らの著書や論文を参考に基本知識を編集部で整理。さらに周仲瑛教授の提起した重要な学説である「瘀熱病機」について,その概念と外感・内傷それぞれに対する治療方法を紹介した。また,難治疾患の1つである風湿病に対する病機弁証についても紹介した。
弁証論治において病機の把握はきわめて重要な要素である。近年,中医学の教材では各疾患をいくつかの弁証タイプに分類して記載しているが(分証分型),ともすれば弁証論治が患者をいずれかのタイプにあてはめる作業になりがちである。こうしたパターン化・硬直化した弁証に対して,近年,警鐘を鳴らす動きがでてきた。南京中医薬大学・周仲瑛教授が提唱する病機を核心とした「病機弁証」である。 「弁証のカギが病機を把握することにある」という観点自体は特に新しいものではない。最近になって,周教授が改めて病機を強調したのは,「近年の大学教育では,学生の中医臨床技能の低下,弁証論治の思考能力の弱体化,機械化・硬直化した弁証分型の援用が指摘されており,複雑で変化の多い臨床の実際に適応することが難しく,予期した治療効果を得られなくなっている」ことが背景にあるという。そして,学生らが固定化した弁証分型の殻を打ち破って,実際の臨床において動態的に対応できる能力を養うために提唱されたのが病機弁証なのである。
本特集では,まず病機弁証を提唱した周仲瑛教授と,その弟子である周学平教授を南京に訪ねて行ったインタビュー記事を掲載した。病機弁証を提唱した背景や意義,具体的な方法,今後の展望などについて話をうかがった。その他に,周仲瑛教授らの著書や論文を参考に基本知識を編集部で整理。さらに周仲瑛教授の提起した重要な学説である「瘀熱病機」について,その概念と外感・内傷それぞれに対する治療方法を紹介した。また,難治疾患の1つである風湿病に対する病機弁証についても紹介した。
◆本号の主な内容
【特集/病機弁証―病機を重視した新しい弁証の試み】
■[巻頭インタビュー]日本の小児漢方 その方法と現状(山口英明)
■[インタビュー]なぜ今,病機弁証なのか(周仲瑛・周学平)
■[新連載]医療用漢方エキス剤の中医学的理解とその運用/基本処方とプラスα の加味方(渡邊善一郎)
■[新連載]鍼灸配穴講座/配穴とはなんだろう(髙士将典)
■[インタビュー]承淡安と澄江鍼灸学派が現代中医鍼灸に与えた影響(張建斌)