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中医臨床 通巻145号(Vol.37 No.2)

中医臨床 通巻145号(Vol.37 No.2)

商品コードc145

特集/「火」の認識とその治療
2016年 6月20日発行

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【特集】「火」の認識とその治療
中国伝統医学における身体観・病態認識の最大のヤマ場,それは「火」である。火(熱)は生命の根源であるとともに,広範囲の病理にかかわっているからである。
一般に火は熱の極まったものと規定されるが,ここでは火と熱は同質のものとして取り扱う。中医学では,火は五行の1つで,陽性・熱性の物や亢進の状態を指す。火には生理的な火と病理的な火があるが,生理的な火には少火・君火・相火・命門の火などがあり,病理的な火には六淫の1つである火邪や機能亢進によって現れる陰火・陽火・虚火・実火・臓腑の火・五志の火・六淫の化火などがあるとされる。
歴史を振り返ると,火に関する論述は,『内経』の①生理・病理の面から提起された少火と壮火の概念,②機能面から提起された君火と相火の概念に始まり,宋金元代に多くの医家によって重大な発展をみた。先駈けとなったのが『内経』理論と五運六気学説とを結びつけ「火熱論」を提唱した金元4大家の劉完素である。また李東垣は陰火の概念と甘温除熱法を,朱丹渓は相火学説を提起して,その後の「火」の認識と治療の基礎を固めた。そしてそれ以降,「火」は医学の中心命題となり続けた。
本特集では,小金井信宏先生には,火の認識と治療理論と題しておもに表熱証と裏熱実証を中心に解説していただいた。火に関する概念は膨大で紙幅の都合で一部を紹介していただくにとどまったが,表証の火熱証について興味深い論考をいただいた。加島雅之先生には火証に用いる方剤と運用について,歴史的背景を交えて解説していただいた。篠原明徳先生は長年にわたって陰火を研究されており,陰火の症例を報告していただいた。別府正志先生には婦人科の更年期障害に現れたさまざまな火証の症例を報告していただいた。伊賀文彦先生は成都の中医に師事した経験からしばしば火神派流の治療スタイルをとられており,今回は酒皶に対する治療報告をしていただいた。最後に,中国の経験として,3人の名老中医の内傷発熱治療について中国の書籍や雑誌から抜粋して翻訳掲載した。


 
◆本号の主な内容

【特集/「火」の認識とその治療】
■[巻頭インタビュー]中医学から円通の毉療へ(田中実)
■[中気理論を探る]脾胃中気からみた生理と病理(張宏瑛)
■[医療用漢方エキス剤の中医学的理解とその運用]花粉症(鼻)関連処方(渡邊善一郎)
■[鍼灸配穴法講座]血虚証の配穴とその運用(髙士将典)
■[近況雑感]鍼灸治療のスタイル③ 肩の散鍼(浅川要)


 
  • ◆目次
    • 
      第145号(第37巻第2号)
      
      
      *巻頭インタビュー/ニッポンの中医臨床/田中実先生に聞く/中医学から円通の毉療へ(編集部)
      
      ◆特集/「火」の認識とその治療
       ・リード(編集部)
       ・解説/火の認識と治療理論 ―表熱証・裏熱実証を中心に―(小金井信宏)
       ・解説/火証に用いる方剤と運用(加島雅之)
       ・症例/陰火の2症例(篠原明徳)
       ・症例/更年期障害として現れた火証の病機に応じた治療(別府正志)
       ・症例/火神派流の火証の治療 ~酒皶の1 症例~(伊賀文彦)
       ・症例/名老中医による内傷発熱治療(編集部)
      
      *中医診察ナビゲーション◇難治性疾患の弁証論治/清熱・通絡・安神による緊張型頭痛治療(丁元慶)
      *中気理論を探る④/脾胃中気からみた生理と病理~李東垣・黄元御・彭子益の比較~(張宏瑛)
      *中医病証の源流考/第8回/癃閉(李超然ほか)
      *『傷寒論』を読み直す④/表裏寒熱の離と合(梁華龍)
      *漢方医学と中医学の架け橋/第3回/尾張藩医・浅井正封による『古今方彙』講習会(その1)(奈良和彦・田中耕一郎)
      *医療用漢方エキス剤の中医学的理解とその運用④/生薬構成が類似した処方同士を比較する〈2〉 ―花粉症(鼻)の関連処方を中心に―(渡邊善一郎)
      *杏林春秋/不眠症の弁証と治療 ~老中医の不眠論文の分析~(川又正之)
      *杏林春秋/『傅青主女科』から学ぶ中医不妊治療(張立也)
      *杏林春秋/現代社会に特有の病因病機と対処法〈後篇〉(木田正博・矢田修)
      *乾くんの中医学手帳「教えて!中薬学」/5.解毒と胃気(石井尊子)
      *穴性論/いま,穴性を問う~日本の臨床に適合した穴性構築に向けて~/第18穴/委中(金子朝彦・岩渕浩司・田辺義典・髙士将典・李昇昊)
      *鍼灸配穴法講座/第4回/血虚証の配穴とその運用(髙士将典)
      *仮免鍼灸臨床からの脱皮/その26/「肝脾不和=下痢」を検証する/肝脾不和は下痢だけか(三旗塾臓腑経絡研究委員会)
      *鍼灸百話/第29話/胃経の病証は何か?(篠原昭二)
      *近況雑感/鍼灸治療のスタイル③/肩の散鍼(浅川要)
      *弁証論治トレーニング90/睡眠障害(高橋楊子・呉澤森)
      *未病を治す智恵27/酒と中医学(藤田康介)
      *熊本鍼灸マッサージボランティア報告/個室と温灸の効用(藤井正道)