中医臨床 通巻143号(Vol.36 No.4)
商品コードc143
特集/温病学を慢性病に活かす
2015年12月20日発行
2015年12月20日発行
数量
【特集】温病学を慢性病に活かす
温病学は中医学の基礎理論を構成する重要な分野の1つであり,『温病条弁』は中医学の4大経典の1つとされる。温病学は主に外感熱病を治療する方法として発展してきた。実際,SARSや新型インフルエンザに対する治療は,温病方が応用されており,温病学が外感熱病に対する重要な治療法であることに変わりはない。しかし近年,中国では公衆衛生環境の改善とともに伝染病の発生は減少し,たとえ発生したとしても伝染病を専門に診る西洋医学の病院でフォローする体制になっているため,肺感染の一部を除いて中医学が活かされる場面は減少しているという。それでは,現代において温病学の必要性は低下したのであろうか。じつは元々急性感染症の治療書であった『傷寒論』が,時代の変遷とともに広く慢性疾患に活用されるようになったのと同じ現象が,温病学でも起こっている。現代の臨床では,非感染性の炎症性疾患や,湿のからんだ疾患を中心に温病学が活かされており,心臓・腎臓・脳などの疾患や皮膚科・婦人科疾患の多くで応用されている。
本特集では,統一教材『温病学』を主編した南京中医薬大学の楊進教授に,中国における温病学の動向(臨床・研究・教育面)について話をうかがったので,そのインタビュー記事を掲載する。その他に,慢性病に応用する温病の治法と方剤,温病の治法を応用したアレルギー性紫斑病の治療経験,営分証の治療法である透熱転気法の雑病への応用,温病方の方証などについても紹介する。
なお,本特集は日本の医師による温病学の応用経験を紹介した既刊の本誌通巻136号特集「日本で活かす温病学」と合わせてお読みいただきたい。
温病学は中医学の基礎理論を構成する重要な分野の1つであり,『温病条弁』は中医学の4大経典の1つとされる。温病学は主に外感熱病を治療する方法として発展してきた。実際,SARSや新型インフルエンザに対する治療は,温病方が応用されており,温病学が外感熱病に対する重要な治療法であることに変わりはない。しかし近年,中国では公衆衛生環境の改善とともに伝染病の発生は減少し,たとえ発生したとしても伝染病を専門に診る西洋医学の病院でフォローする体制になっているため,肺感染の一部を除いて中医学が活かされる場面は減少しているという。それでは,現代において温病学の必要性は低下したのであろうか。じつは元々急性感染症の治療書であった『傷寒論』が,時代の変遷とともに広く慢性疾患に活用されるようになったのと同じ現象が,温病学でも起こっている。現代の臨床では,非感染性の炎症性疾患や,湿のからんだ疾患を中心に温病学が活かされており,心臓・腎臓・脳などの疾患や皮膚科・婦人科疾患の多くで応用されている。
本特集では,統一教材『温病学』を主編した南京中医薬大学の楊進教授に,中国における温病学の動向(臨床・研究・教育面)について話をうかがったので,そのインタビュー記事を掲載する。その他に,慢性病に応用する温病の治法と方剤,温病の治法を応用したアレルギー性紫斑病の治療経験,営分証の治療法である透熱転気法の雑病への応用,温病方の方証などについても紹介する。
なお,本特集は日本の医師による温病学の応用経験を紹介した既刊の本誌通巻136号特集「日本で活かす温病学」と合わせてお読みいただきたい。
◆本号の主な内容
【特集/温病学を慢性病に活かす】
■[巻頭インタビュー]複雑系に対応した伝統中国医学の真価(木田正博)
■[興味深い報告]伝統中国医学をガイドラインで取り上げた日本老年医学会の試み(岩崎鋼ほか)
■[中気理論を探る]黄元御の中気理論とその臨床応用(陳聖華ほか)
■[インタビュー]針灸の弁証論治と中国における針灸の現状(王啓才)
■[特別寄稿]近代の経絡解釈の変遷――援用による解釈,疑問と否定,そして回帰――(張建斌)