閉じる

中医臨床 通巻146号(Vol.37 No.3)

中医臨床 通巻146号(Vol.37 No.3)

商品コードc146

特集/新安医学――中医学の源流
2016年 9月20日発行

通常購入

定価:1,728(本体1,571円+税)
1,728(本体1,571円+税)
0ポイント
1,571
1,571
0ポイント
販売期間外の商品です

お気に入りに追加

この商品について問い合わせる

魅力溢れる地域流派の世界
【特集】新安医学――中医学の源流
中国安徽省は「北華佗,南新安」と称賛され,数多くの名医を輩出した地域として知られる。華佗は言うまでもなく後漢代末に活躍した伝説的な名医で,彼は安徽省北端の亳州市の出身である。一方の新安(徽州ともいう)は安徽省の南端に位置し,江西省や浙江省と隣接する地域の古称で,現在の徽州歙県・休寧・績渓・黟県・祁門,および江西省の婺源に当たる。新安では南宋代から明清代にかけて800人を超す医家を輩出し,800冊を超す医学・薬学書を残している。「天下の名医は新安より出ず」といわれるゆえんである。
新安を名医輩出の揺籃たらしめたのは,宋代に起こった靖康の変によって中原から大量の住民が南へと移動した際に,新安が官吏の一家や名家の一族,文化人などの格好の避難場所になったことと関係する。それによってこの地域は儒者の密集地帯となり,徽州文化や新安医学を開花させることになる。 この儒者の密集地帯はやがて「程朱理学の故郷」とまで称されるようになる。そして「良相にならざれば,良医となれ」という言葉の通り,多くの知識人が官吏の道から医師へと路線を変更していく。 新安医学が隆盛を極めるのは明清代である。たとえば汪機の「営衛一気説」,孫一奎の「動気命門説」,呉澄の「外損致虚説」,程国彭の「医門八法説」,鄭梅澗父子の「養陰清肺説」,余国珮の「燥湿為綱説」など,新安医家の独創した学術思想や,汪機の「新感温病説」,方有執の「錯簡重訂説」,程国彭の「八字弁証説」,汪昂の「暑必兼湿説」など,過去の医説を新安医家が継承発展させた学術思想は数多い。
本特集では,新安医学研究の第一人者であり,自身も新安王氏医学の6代目継承者である王鍵教授(安徽中医薬大学学長)を訪問して話をうかがったインタビューのほか,新安医学の医家や学説,名方について紹介する。さらに徽州文化のバックボーンとなった徽州理学が新安医家に与えた影響についても紹介する。


 
◆本号の主な内容

【特集/新安医学――中医学の源流】
■[巻頭インタビュー]八綱弁証の再考を(吉冨誠)
■[教えて!中薬学]加熱炮製と薬性(石井尊子)
■[医療用漢方エキス剤の中医学的理解とその運用]和解法(渡邊善一郎)
■[漢方薬と鍼灸治療のコラボ]鍼薬同効から考える漢方薬と鍼灸治療のコラボレーションの意義(関口善太)
■[近況雑感]現代中医鍼灸はどのように日本に導入されたのか?(浅川要)


 
  • ◆目次
    • 
      第146号(第37巻第3号)
      
      
      *巻頭インタビュー/ニッポンの中医臨床/吉冨誠先生に聞く/八綱弁証の再考を(編集部)
      
      ◆特集/新安医学――中医学の源流
       ・リード(編集部)
       ・インタビュー/安徽中医薬大学学長・王鍵教授に聞く/中医学の発展に巨大な貢献を果たした新安医学(編集部)
       ・文化/新安医家と徽州理学(王鍵ほか)
       ・人物/新安医学の名医たち(王鍵ほか)
       ・医説/新安医学の新学説(王鍵ほか)
       ・処方/新安医学の名方(王又聞ほか)
      
      *中医診察ナビゲーション◇難治性疾患の弁証論治/頭骨内静脈奇形手術後の眩暈・てんかん発作治療(丁元慶)
      *興味深い症例/六君子湯による異病同治の臨床経験2例(河﨑文洋ほか)
      *杏林春秋/不眠症の弁証と治療/その2/入眠障害と断眠〈前篇〉(川又正之)
      *医療用漢方エキス剤の中医学的理解とその運用⑤/生薬構成が類似した処方同士を比較する〈3〉―和解法篇―(渡邊善一郎)「読みどころ」を見る
      *漢方医学と中医学の架け橋/第4回/『古今方彙』講習会(その2)/『古今方彙』を読む―中風(前篇)(奈良和彦・田中耕一郎)
      *乾くんの中医学手帳「教えて!中薬学」/6.加熱炮製と薬性(石井尊子)
      *新連載/漢方薬と鍼灸治療のコラボ/第1回/鍼薬同効から考える漢方薬と鍼灸治療のコラボレーションの意義(関口善太)
      *杏林春秋/アトピー性皮膚炎(頭痛・肩こり・月経痛を伴う)/異病同治,そして睡眠時間と症状の変化について(矢田修)
      *鍼灸配穴法講座/第5回/血瘀証の配穴とその運用(髙士将典)
      *穴性論/いま,穴性を問う ~日本の臨床に適合した穴性構築に向けて~/第19穴/風池(金子朝彦・岩渕浩司・田辺義典・髙士将典・李昇昊)
      *仮免鍼灸臨床からの脱皮/その27/「経脈病証」を検証する/奇経の応用―正経だけではもの足りない(大石知絵子)
      *調査報告/わが国における中医鍼灸の実態調査〈前篇〉(編集部)
      *鍼灸百話/第30話/肺経の病証は何か?(篠原昭二)
      *近況雑感/現代中医鍼灸はどのように日本に導入されたのか?(浅川要)
      *弁証論治トレーニング91 /〈抗うつ剤による肝機能障害〉(呉澤森・高橋楊子・滝沢健司)
      *リポート/日本中医学会・成都視察/「中医薬の故郷」で再び始まる学術交流(編集部)
      *リポート/日本中医学会・成都視察/参加者の声(加島雅之・清水雅行)
      *リポート/中国の医師職称制度~外国人初の主治医師資格(中医内科学)合格体験記~(藤田康介)
      *未病を治す智恵28/メディアを活用した中医学の普及~テレビ篇~(藤田康介)
      *書籍紹介/『鍼灸臨床能力』北辰会方式 理論篇(藤本蓮風監修・一般社団法人北辰会学術部編著)
      *リポート/関西中医鍼灸研究会/「鍼灸の弁証論治の実際を公開」~浅川要先生の特別講演会~(編集部)