閉じる

中医臨床 通巻153号(Vol.39 No.2)

中医臨床 通巻153号(Vol.39 No.2)

商品コードc153

特集/補剤を再考する
2018年 6月20日発行

通常購入

定価:1,760(本体1,600円+税)
1,760(本体1,600円+税)
0ポイント
1,600
1,600
0ポイント
販売期間外の商品です

お気に入りに追加

この商品について問い合わせる

単に補うだけでない補剤の中身
【特集】補剤を再考する
中国伝統医学は西洋医学のように病因を取り除く(瀉法)だけでなく,人体の不足を補う(補法)ことによって治療する方法をもつ点に大きな特徴がある。具体的には正気の不足である虚証を改善する補益薬を主体にした補剤を有する点である。
補剤は正気の不足を改善する方剤であるが,各補剤の組成を見てみると単に「補う」だけの生薬から成っているわけではないことがわかる。たとえば,補気の基本方剤である四君子湯には滲湿の茯苓が,補血の基本方剤である四物湯には化瘀の川芎が,補陰の基本方剤である六味地黄丸や補陽の代表方剤である八味地黄丸には滲湿の沢瀉・茯苓,涼血の牡丹皮が含まれ,いずれも補法のなかに瀉法が含まれており,補いながらも邪を留まらせない工夫が凝らされている。一口に補剤といっても,単に補うだけの薬だけでは十分には補えず,異なる働きをもつ生薬と組み合わせることで,病態に合った働きをしている。
そこで特集では,
〈1〉方剤解説:方剤の構成生薬をつぶさに観察すると,中医理論にもとづく「組み合わせの妙」が浮かび上がってくる。代表的な補剤について,菅沼栄先生に解説していただいた。
〈2〉理論解説:補益法による内傷病の治療は,歴史的に温補派がその理論を深化させ,用薬法を発展させてきた。薛己・張景岳・趙献可を取り上げ,小金井信宏先生にその理論や方法について解説していただいた。
〈3〉がんと補剤:発がんの基礎は正気の不足と考えられているため,がん治療の多くで補剤が使用されている。がん治療で使われる補剤について,鄒大同先生に中国における最近の研究動向を中心にレビューしていただいた。
〈4〉臨床上のポイント:臨床において補益法を用いる際のポイントや注意点などについて,木田正博先生に成書を引用しつつご自身の考えを交えて紹介していただいた。
〈5〉補薬解説:補剤の主薬となる補薬について,陶惠寧先生に解説していただいた。


 
◆本号の主な内容

【特集/補剤を再考する】
■[巻頭インタビュー]患者さんに寄り添う漢方 一味の生薬から治療を考える(峯尚志)
■[新・方剤学~方剤分類と方意~]解表剤〈2〉(加島雅之)
■[ニッポンの漢方薬局を訪ねる]漢方・子宝相談のすすめ方(岡理絵)
■[新連載・まんが]乾くんの教えて! 望・聞・問・切(石井尊子)
■[特別インタビュー]経絡経穴の認識と臨床への応用(後篇)(篠原昭二)


 
  • ◆目次
    • 
      第153号(第39巻第2号)
      
      *巻頭インタビュー/ニッポンの中医臨床/峯尚志先生に聞く/患者さんに寄り添う漢方 一味の生薬から治療を考える(峯尚志/[聞き手]編集部)
      
      ◆特集/補剤を再考する
       ・リード(編集部)
       ・方剤解説/補益剤における組み合わせの妙(菅沼栄/[聞き手]編集部)
       ・理論解説/温補の理論展開~薛己・張景岳・趙献可を中心に~(小金井信宏)
       ・臨床応用/補法・補薬を用いる際の心得(木田正博)
       ・研究動向/がん治療における補剤~最近の研究動向~(鄒大同)
       ・生薬解説/補薬~植物薬と動物薬~(陶惠寧)
      
      *新・方剤学~方剤分類と方意~/第3回/解表剤〈2〉(加島雅之)
      *銀座煎じ研究会/症例カンファレンス/第2回/片頭痛・子宮内膜症および関節リウマチの諸症状(田中耕一郎ほか)
      *中医診察ナビゲーション◇難治性疾患の弁証論治/補益元気・化痰清熱による中風後の肺炎治療(丁元慶)
      *杏林春秋/肝気虚によるうつ病と不安障害(後篇)(川又正之)
      *杏林春秋/生薬および処方証の可視化~見える漢方薬~(曺桂植)
      *杏林春秋/肝の養生法(張立也)
      *杏林春秋/丹参の伝説([翻訳]小野正弘)
      *医療用漢方エキス剤の中医学的理解とその運用⑫/生薬構成が類似した処方同士を比較する〈9〉―滋陰剤篇①―(渡邊善一郎)
      *漢方エキス製剤の中医学的運用/アトピー性皮膚炎が補陽還五湯+猪苓湯でコントロールできている1例(榊原哲)
      *漢方医学と中医学の架け橋/第11回/『古今方彙』講習会(その2)/『古今方彙』を読む―中湿門(2)・火証門(1)(奈良和彦ほか)
      *ニッポンの漢方薬局を訪ねる④/大慶堂漢方薬局・岡理絵先生/漢方・子宝相談のすすめ方岡理絵(岡理絵/[聞き手]猪越英明)
      *内経入門/第22回/腎の系統ってなに?〈2〉(斉藤宗則)
      *乾くんの教えて!望・聞・問・切診/第1話/ご先祖様登場!(石井尊子)
      *特別INTERVIEW/九州看護福祉大学 篠原昭二教授に聞く/経絡経穴の認識と臨床への応用(後篇)(篠原昭二/[聞き手]編集部)
      *仮免鍼灸臨床からの脱皮/その34/「絡脈病証」を検証する/正経だけではもの足りない~絡穴を中心に~(大石知絵子)
      *鍼灸百話/第37話/心包経の病証は何か?(篠原昭二)
      *近況雑感/禁灸穴(浅川要)
      *弁証論治トレーニング98〈三叉神経痛〉(滝沢健司)
       ・回答へのコメント(高橋楊子・呉澤森)
       ・次回出題(呉澤森)
      *未病を治す智恵35/小学生にも中医学の知識を~中国浙江省での試み~(藤田康介)
      *書籍紹介/『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』(藤本蓮風監修)
      *書籍紹介/『名医別録解説』(森由雄編著)